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ストーリー|Story

 1977年7月主人公の少年・裕史(10)は、ある日突然、母親の事情で郡上八幡にあるお寺(養護施設)に預けられる事になる。母親は「すぐに迎えに来るから辛抱して」と言って去っていくが、裕史は母親に置いていかれた絶望と悔しさに泣き喚く。いくら泣いても喚いても事態は変わらない。ゆっくりと裕史は現実を受け止め始め、やがて郡上の雄大な自然と風土に魅せられていく。そして、同級生の従姉妹、水帆(23)への淡い恋心。

 恋心はやがて初恋となり、自分が子どもである事への歯痒さと、水帆に対するどうしようもない思いに胸を締め付けられる。裕史は精一杯の背伸びで、今の自分に出来る全てをぶつける。しかし、その初恋は、水帆の死で幕を閉じる。裕史は楽しいひと夏の思い出と共に、淡く切ない初恋を心の一番奥に閉じ込めてしまう。

 郡上を離れ、大人になった裕史は、沢良木の訃報で、かつて少年だった自分と同じ年になる息子を連れ、再び郡上を訪れる。郡上の美しい自然と、そこで暮らす仲間は、あの時と同じように自分を迎えてくれる。

 裕史は閉じ込めていたあの夏の思い出と、あの日閉ざした心を、少しずつ、少しだけ、ひも解いていく。
まるで今の自分をどこまでも透きとおる郡上の水で洗い流すかのように・・・

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